◇業界発展への道─A
公正な価格形成とへッジの分離 当業者、投機家にも利
◆初日出来高は6413枚 中大取金、今後に期待
◆東穀取=業務規定の一部変更 会員の名称変更「取引参加者」に
◆商品ファンド=9月販売額振るわず 運用残高は25ヵ月連続減少
◆“アングル”弱いドルが金上昇を説明する
◆“先物文化”アメリカ資本主義と蝦蟇の膏
◆東工取=マーケットメーカー導入
◆鉄スクラップ=15日付で上場廃止
◆日本交易=受託業務廃止 エース交易に建玉移管
◆エース交易=預かり証拠金133億円
◆第5回は東穀取で 知識普及委のミニセミナー
業界発展への道─A
公正な価格形成とへッジの分離 当業者、投機家にも利
「公正な価格形成」「ヘッジ」。これは商品先物取引の2大機能ともいえる。それだけに、両者は密接不可分ともいわれているが、本当だろうか。「もし、2つを分離したら、出来高が増え、当業者、投資家だけでなく商品先物業界発展にも利する」という人がいる。その説を紹介しよう。
ヘッジをするには公正な価格形成が必要─これは自明のこととして受け入れられている。では、公正な価格が形成できればヘッジはできるのだろうか。実は必ずしもそうは言い切れない。
と言うのも、出来高が少ないと、いくら公正な価格が形成されても大量のヘッジはできない。それは昨今の先物取引が如実に表している。ちょっと、買えば上がり、売れば下がってしまうからだ。
ファンドはトレンドフォロアーが多いといわれている。トレンドに乗るだけで、自己の売買が価格に影響を与えないことが最上というわけだ。ところが出来高が少ないと自ら相場をつくり、これでは利益を上げることも出来ない。
また、現在の上場商品は円建て国内渡しなので、為替、運賃の変動をもろにかぶる。そこで、いくら公正な価格が形成されても海外相場から遊離する。
「それくらいなら最初から海外でヘッジした方が得」という企業が出てもおかしくない。というより大半がそのように考え、海外でヘッジするので国内で売買を行わないことになる。
それなら、いっそう、ニューヨークの原油、金」「シカゴの穀物」と同じ商品をドル建てで国内で上場したらどうだろうか。
これには各種制約があるが、「現金決済取引」とし、「帳入れ値段はシカゴの最終価格とする」とすれば、途中、いろいろな価格が形成されても、結局、収まるところに収まり、ヘッジしやすくなる。いわば、海外でのへッジを国内でできるようにするというものだ。
このような商品なら一般投資家も、少しの売買で価格が大きく動く、という不利な面を捨象出来る。最後はニューヨーク、シカゴと同値になるとなれば、比較的安心して取引もできよう。もちろん、ヘッジだけでなくファンドの参入も期待出来るようになろう。
といって、海外と同じ形の商品だけでは片肺飛行になる。先物取引には「情報発信」という機能もあり、それが経済界に重要な役割を果たしているからだ。それだけに、円建てで現在の商品を一緒に上場しておけば、国内での価格形成、情報発信も出来る。
また、金のように「現物を持っていて国内でヘッジする」とか、ガソリン、灯油のように「現物を引き取り商売に使う」といった形でも国内では先物取引が多く利用されている。穀物、砂糖、ゴムなども、国内で消費する中小企業には円建ては利用価値がある。
商品先物取引はこれまで、「信頼性」「利便性」「委託者保護」などが唱えられてきた。だが、ややもすると、信頼性と委託者保護に重点が置かれ、利便性がなおざりにされてきたきらいがある。もう一度原点に返り、どうしたら利用者が最も使いやすいかを考えるべきではないか。
その一環として「2本立ての上場は難しい」と言う前に一度研究してみる価値はあるのではないだろうか。
(岡本 匡房) |