前号へ  次号へ               


先物はやらない
先物実践家 山崎 時夫
 先日、久しぶりに業界OB5人と会合した。業界を去って5年から3年、平均年齢は齢65歳の前期高齢者に仲間入りの連中だ。5時過ぎから10時の看板まで、同じ店でよくも飽きずに話し込んだものだと思う。
 話が弾んだきっかけは商品先物業界の凋落にあった。参加者の4人が読者の先物ジャーナル紙が4回にわたって連載した09年3月期の専業取引員財務状況の惨憺たる内容に失望したからで、「おい、業界は生き残れるのか、何社残るのか。3年前はいつも通り賞与がでてたのに、今年は無しだって、本当に大丈夫だろうか」という問いかけからであった。
 「以前に、お前は専業が50社割ったらお仕舞いだといったよな。市場流動性がなくなり、公正な価格が発信できなくなるからだと。いま外資も入れて40社そこそこ、専業は30社を割っているのではないか、次に危ない会社はどこか」とかなり手厳しい。
 「市場流動性回復の特効薬があったら教えて欲しいというのが、いまの業界の一致した意見だと思う。それよりも行政不況といわれている諸々の規制を何とかしないといけない。これはあんたの専門分野だろ」、「過日、かつての顧問弁護士と取引所職員と会食したが、憂えてはいてもよい解決策は見出せないでお開きになった」と、落胆の声。
 いつも明るいITベンダー氏は「完全リタイア後の1年そこそこで全科目のCFP資格を取得した(これには全員がすごいと祝福)。いまは自治会長として住民の相談相手をしているが、これがなかなか難しい。ひとつのことを決め、実行するまでに『ああだ、こうだ』で、なかなかまとまらない。業界の上の人たちはよくやっているのではないか」と擁護派に回る。
 氏は先物愛好家でもある。現役時代に相場分析ソフトの開発に関与したせいか、ここ何年かポジションを持ち続けている。2台のパソコンを使いこなして、1日に何回も画面を開いてオーダーを発注。「ところで貴方たちは相場やらないの」と投資の話に。
 在所に引きこもり、介護の合間に晴耕雨読を楽しんでいる発起人は「金を全部手放してからは相場はみていない。先物には手を出さない」と堅実派を自認する。業界に幅広い人脈をもつ法律家は「いまFXで2社と取引中だよ。先物に手を出す度胸がないのか、やりたいと思わない」とそっけない。
 紅一点の労務管理土は「株式投資で500万円がバー。相場の難しさを体験したので、いまは老後の生活設計中です」と、これでは先物ファンは広がらない。
 後輩が来ると、断れずに保険にも加入してしまう人がよいOB諸君に先物取引の勧誘を試みたら、以外とあっさり契約に至るかもしれない。まずは業界を熟知している身近な人を勧誘できないのであれば、先物取引の将来はない。
(週刊 先物ジャーナル 09年9月28日 1007号 掲載)

inserted by FC2 system