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大晦日定めなき世のさだめかな
杉江 雅彦
12月は師走とも呼ばれ、その月の末日が大晦日である。江戸時代の有名作家のひとり井原西鶴の作品に、『世間胸算用─大晦日は一日千金』がある。西鶴はその中で、栄華から見放された庶民たちが金銭に翻弄される姿を、見事に活撮することに成功している。その作品の副題にあるように、大晦日は一年間の総決算日であるから、お金に関する庶民の対応ぶりを描くには最も都合のよい日であった。
さて、先物市場もそろそろ大晦日を迎える。原油先物市場だけを取り上げてみても、今年一年は相場に翻弄されっ放しだったといってよかろう。2007年に1年で2倍に上がった原油価格は、今年に入ってからも上昇のテンポを緩めることなく、7月には1バレルが147ドルにまで上昇した途端、今度は逆に急坂を滑り落ちるような勢いで下降に転じた。最近は40ドル台で推移しているから、わずか5ヵ月で3分の1以下に下がったことになる。まさに尋常な動きではない。
NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)の原油先物価格の写真相場に近い、東工取の原油相場で売買してきた投資家のほとんどが、恐らくこのように荒っぼい下げ相場にはついていけず、振り落とされてしまったのではないかと想像される。本家のNYMEXだって)」多分にもれない。
なかでも、つい最近まで原油相場高騰の主犯ときめつけられていたファンドが出資者からの換金要求もあって市場からの撤退を強いられ、大きなダメーシを受けた。
これに追い討ちを掛けたのが、リーマン・プラザーズ破綻以後の際立った景気後退気運で、原油需要の減少は避けられぬとみた投資家の積極売りである。極端なケースでは、産油国自身や大手石油メジャーが先安を見越して、期先物のヘッジ売りをはじめているという。これでは、40ドル割れはおろか30ドルだって有り得ない話ではなくなる。
もっとも原油価格の下落は、需要者にとっては大きな福音であることはまちがいない。国内のガソリン価格も1リットル・120円台まで下がってきた。ガソリン代の高騰を嫌って自動車離れが起こったのは、つい最近のことだが、今度は景気悪化で自動車の販売が激減したというのは皮肉な現象だ。原油といい自動車といい、関係者にとっては頭の痛い年の瀬になるが、それでも「大晦日定めなき世のさだめかな」(井原西鶴)ではある。 |