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VかUかLか
市場経済研究所 社長 岡本 匡房
 12月4日、東京穀物商品取引所で慣例の年末記者懇談会が行われた。主催者を代表した荒井日商協会長の重苦しい挨拶の後、多々良賓夫委託者保護基金理事長が乾杯の音頭を取ったが、この時、このように発言した。「今日が出来高の底で、今後はU字型の回復を期待したい」。
 宴たけなわの中締めを行った加藤雅一先物協会会長はこう応酬した。「U字型ではなく、V字型の回復を遂けてほしい」。
 だが、両者の発言をよそに、商品先物取引の凋落はとどまるところをしらない。12月の出来高が今年303万枚と前年同期比27.7%もの大幅な落ち込みを見せている。Uになるにしても、Vになるにしても、まだ、底に達したのではなく、下げ過程にある気がしてならない。
 折しも、産業構造審議会商品取引所分科会は中間報告書をまとめた。不招請勧誘の禁止が盛り込まれたが、これは政令で猶与を与えられた。また、新規上場商品の円滑化、プロ化をはじめ、多くの信頼性、利便性向上に向けての手が打たれることになった。
 これでかなりグローバルスタンダードに沿った形となり、海外に互して戦える基盤が整い始めたともいえる。だが、これで商品先物業界が復活できるかというと、はなはだ、心もとない。
 日本経済新聞の調査でも3年後の2011年度に現在より出来高が増えると答えた商品取引員は22.4%と全体の4分の1以下に過ぎない。これでは、VでもUでもなくLになりかねない。それも極めて底水準のLに。
 産構審の方向性は間違っていないにしても、業界がビジネスモデルの開発」といっても、「対面販売による顧客獲得」という従来型のビジネスモデルから脱却できない商品取引員が大半だ。新しいビジネスモデルを模索する商品取引員もFXや証券に活路を求めるものばかり。商品先物知り引き振興にはつながりそうにない。
 では、どういう道があるかというと、筆者にも思いつかない。ただ、リスクテーカーは確実に増えている。日経225先物には小口投資家が参入しており、「投信で損をした投資家の67%以上が『予想が外れたのだからしかたがない』と答えている」(日本経済新聞)。
 株が暴蕗した10月の個人投資家の買いは9900億円強に達した。自己責任による資産運用を求める人は着実に増加している。問題はそれをどう取り込むかだろう。
 もちろん、海外勢やへッジャーに期待するところは大だが、流動性の小さな市場には誰も入ってこまい。最近「ミニ化」で商いがやや増え始めた商品も出ているが、従来の「ハイリスク・ハイリターン」では限度があろう。
 ここは思い切って、証拠金を大幅に引き上げて「ローリスク・ローリターン」の小口商品をつくったらどうだろうか。商いは減るが建玉は増えよう。「米びつ」が大きくなれば、目先は苦しくても中長期では出来高は増える。ヘッジャーの望むところとは逆だが、投資家の層が厚くなったら、再考すればよい。
 まず、個人投資家を呼び込む。それに業界挙げて取り組む秋といえよう。
(週刊 先物ジャーナル 08年12月15日 968号 掲載)

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