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「待てば海路の日和」はあるか
杉江 雅彦
大多数の商品取引員のビジネスモデルは、基本的に、顧客に対して対面で商品先物の売買取引を勧誘し注文を受託して執行する、というものである。商品取引員は長期にわたってこのビジネスモデルを踏襲し、委託手数料収入によって利益を得てきた。
ところが、比較的業務形態が似ている証券会社とくらべると、商品取引員の方が証券会社よりも社会的信用度が低いという現実があった。そこで大手を含む一部の商品取引員は、社会的信何を向上させると同時に、ビジネスモデルとしても取り込むことを狙って、証券業務を兼営するようになった。また証券会社を買収して子会社とするケースも現れた。
しかし、株式や債券の売買はどちらかといえば実物を買って長期間保有する。営業的にいえば積み上げ方式であるのに対して、商品は始めから決済期間が限定されている短期決戦である。先物商品に慣れてきた商品取引員の経営にはなじまない面がすくなくない。そこで商品取引員の関心が、むしろ商品先物よりもさらに短期決戦型の外国為替証拠金取引に向けられるようになったのも当然である。これで商品取引員のビジネスモデルは、商品・証券・外国為替の三市場に広がった。
一方、この間に度重なる商品取引所法の改正によって、商品取引員の顧客勧誘にきびしい制限が加えられるようになった。それは適合性原則にはじまり再勧誘禁止へ、さらに不招請勧誘禁止も視野に人ってきている。したがって、コンプライアンスの順守を強いられる商品取引員としては、対面営業の腰が引けるのも当然であり、年々、売買高が減少し続けているのが現実である。
これでは経営が成り立つはずもなく、ほとんどの商品取引員が赤字決算に追い込まれている。なかには受託業務磨から撤退したり、廃業する業者も現れているが、それでも大多数の商品取引員は新しいビジネスモデルへの転換を模索することもなく、依然として商品叩・証券・為替の三業務に固執したまま、今年度も下半期に人った。
5年後にはいまの半数の業者しか残らないという、商品取引員自体のアンケート結果にもかかわらず、依然として踏みとどまっている会社が少なくないのは、仮に業者数が半減すればパイの取り分が倍になることを期待して、それまで赤字経営を続けても我慢くらべする気なのか。
そうなれば、結局のところは体力(純資産額)勝負ということになるだろう。しかし、パイの大きさも日に日に小さくなっているのである。 |