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商品先物市場のプロ・アマ規制考
   
 業界各紙にも紹介されたように、去る10月2日に経産省の産業構造審議会商品取引所分科会が開催され、そこでは、金融商品取引法が採用しているプロ・アマ規制を商品取引所法にも導入することの是非をめぐって、活発な議論が展開されたという。
 そこで本欄でもこの問題を取り上げて、いささかの私論を交えてみたいと思う。
 そもそもと、大上段に振りかぶることもなかろうが、商品先物市場で機関投資家はプロ、個人投資家はアマと線引きして考えるのは如何なものか。しかも、商品先物市場の参加者をプロである機関投資家や当業者などに限定し、アマである個人は締め出そうという発想は頂けない。
 商品先物市場の利用目的を大きくふたつに分類すると、ヘッジと投機(スペキュレーション)ということになろう。
 リスクヘッジを必要とする当業者が商品先物市場を利用するのは当然であり、それは危険回避という純然たる経済行動である。しかし、もうひとつの先物市場利用の目的である投機は、機関投資家や当業者が巧妙であり、個人は拙劣だという結論にはつながらない。その反対の事例だって無数に存在するのは、占今東西に共通している。
 ここで思い出すのは、アメリカ有数の経済学者でマネーサプライ概念を金融政策に導入した、ミルトン・フリードマンの言葉である。フリードマンは外国為替市場を例に引きながら、さまぎまなスペキュレーターが先物市場に参加している過程で、巧妙なスペキュレーターだけが市場に生き残り、拙劣なスペキュレーターは失敗して退場するから、巧妙なスペキュレーターだけで市場は適切に運営される、と主張した。
 しかし筆者は、そうは考えない。「浜の真砂と五右衛門が…」という歌舞伎の台詞ではないが、巧拙さまざまなスペキュレーターが、絶えず出たり入ったりするのが先物市場の現実ではないのか。したがって、あまり形式的にプロとアマを区別して、ちがった規制を設けることには賛成しかねる。
 もうひとつ。金融商品取引法で規定しているプロ・アマの区別は、市場で売買される商品の違いからいって、商品先物市場にそのままでは取り入れにくい点も指摘しておきたい。証券市場で取引されるのは有価証券が中心であり、長期間保有して値上がりを待つ性格が強いからである。
 他方、商品先物市場は期間限定の短期決戦の場である。なならずしも運用知識が豊富だからといって成功するとは限らない。要は投機に対する意思の問題に帰着する。したがって、再勧誘、不招請勧誘の禁止を議論する方がより重要であろう。
(種二)
(週刊 先物ジャーナル 08年10月27日 961号 掲載)

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