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AIG破綻救済に関心
沼野 龍男
 「60歳以上で保険加入を考えている方に耳寄りな情報が…」、「もっと早く教えてよ」、「月、3000円なら出せますけれど」などのテレビCMを見ない日がない。
 もし万一、このCMにそって60歳以上の多くの人たちが加入したとすると、大変なデータが収集されることになる。@将来の医療対象者と見通しに関する情報、A個人金融資産の6割以上が存在するといわれている層の多くの情報などである。
 米国の医療保険についてはほぼ全てが民間保険だが、医療サービスでは約7割が非営利法人だといわれている。然るに、米国は日本に対して営利法人を認めろと要求しているのである。国民すべてに対して平等な医療サービスを提供することを趣旨とする日本の「国民皆保険制度」の中に、利益追求型の営利法人の参入を認めることになると、日本の良好な医療システムは間違いなく崩壊するであろう。
 米国は日本に対して、MRIやPETなどの高額医療機器を売りたがっている。癌の転移や病気の進行状況確認のために使われる場合は健康保険が適用されるが、単に検診だけだと全額自己負担になり、約10万円かかる。
 高額医療機器を日本に売り込みたい米国の医療機器メーカーにとって、日本の医療制度に自由診療が認められれば、売り込みはそれだけた易くなるからだ。
 米国政府は日本の医療分野への外資参入を実現させるべく、混合診療の解禁を求めた。混合診療とは健康保険の範囲内の分は健保で賄い、範囲外の分は患者自身が費用を支払うことにより費用を負担しあうことをいう。現在の日本では、この混合診療は認められていない。健康保険制度も満足に機能していない健康保険「後進国」の米国から、国民皆保険が実現している健康保険「先進国」である日本の優れた制度を放棄し、高額な医療費を条件とする医療企業が跋扈するシステムに変容させようという要求に、日本のエリートたちは屈しようとしている。
(「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ」本山美彦著より)
 アメリカの中産階級の破産した人々の半数は、医療費の高騰によるものといわれている。家族医療保険料が月1000ドル(10万円以上)ともなると、誰でも耐えられるというものではない。
 米国流自由は冨を独り占めする上流階級の特権であり、貧民には「選択の自由」もない。
 住宅ローンや高額医療費破産はルールなき資本主義、ルールなき市場経済の行きつく先に必然的に待っていたもの。
 日本の先物市場が日本はもとより、東アジア経済に果たす役割を再認識して官民一致協力して踏ん張らないと、「米国流自由」に飲み込まれてしまう。私の被害妄想だろうか。
(週刊 先物ジャーナル 08年9月29日 957号 掲載)

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