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原油相場と株価の”悩ましい“関係
  
 思わぬ石油製品の消費減で、あっという間に原油相場が急落した。価格が上がれば需要は減る。これは経済の常識である。ガソリンの急激な値上がりに悲鳴をあげたアメリカ市民が、にわかに自動車を敬遠しはじめたのがきっかけで、原油安が一気にすすんだ。
 なにしろアメリカのガソリン消費は、政界の石油需要の1割以上を占めるというから、その影響は無視できない。早速、アメリカ産の原油であるWTI(ウェストテキサス・インターミディエート)の先物価格が敏感に反応して、1バレル=100ドルの大台割れまで下落した。
 原油高を主導した犯人扱いされていたファンドが、原油先物市場から資金を引き揚げたことが、下げ相場を加速したことは先刻周知のところである。かつては株式や債券を中心に運用していたファンドが、証券市場から商品先物市場に軸足を移したため、原油高・株安現象が起こったのだとすれば、逆に最近の急激な原油安によって、再び株高に戻ってもよいはずではないか。ところが現在のところ、一向にその気配がない。それどころか、リーマン・プラザーズの破綻により金融システム不安が増幅されて、NY株価は連日のように下落を続けている始末である。
 実は、ファンドに原油先物市場からの撤退を促したのは、目先だけではなく1年先、2年先の原油需要減退の予想であろう。アメリカ発の世界同時不況に向かっているため、世界の原油需要はかなりの長きにわたって減退し続けるという読みである。世界的な景気後退ということになると、株式市場だって無関心ではいられまい。
 私に言わせればアメリカは面白い国で、国民の多くが株式や株式投資信託(401k拠出年金も含めて)を保有しているから、たえず株価上昇への強い願望がある。大統領もこのことをょく承知していて、株価が急落すると、国民に向かって「アメリカの富が失われた」と発言したりする。だから、何か小さくても好材料があると、すぐに反応して株価を上げようとする力が働く。この点は、何事にも悲観的に反応しやすい日本の株式市場とは大違いである。
 さて、そんなアメリカの株式市場も、サブプライムローン問題の終息がなお見えず、景気後退の気配も濃くなってきた昨今では、到底、株価の先高は期待できまい。しかもまだ地雷(主要資金融機関の破綻)も埋まっていて、いつ爆発するかも知れない。矛盾するようだが、株安と原油安はしばらくの間続きそうに思える。
(種二)
(週刊 先物ジャーナル 08年9月22日 956号 掲載)

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