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動きすぎて困る
   
 米当局による投機規制の動きから世界経済を混乱に陥れていた原油相場が下落、農産物相場も下げた。価格水準が高い分、下げ幅も大きい。調整局面に入ってから2ヶ月が経過しているが、いまだ一日にして証拠金が飛んでしまうほどの動きが連日繰り広げられている。
 9月に入ってから、東京穀物商品取引所の制限値幅は毎日何かが変更されている。とうもろこしは1日に1500円に拡大されて3日まで変更なし、4日に通常の1000円に戻ったが、5日には再び1500円に拡大、9日に1000円、10日1500円、11日1000円といった具合。人気凋落の激しいNOn−GMO大豆は9月11日までに制限値幅が4500円に拡大された日が5回、通常(3000円)の日の3回を上回っている。
 制限値幅が拡大されるのは、制限値幅一杯の相場変動があったからでストップ高(安)に相場が張り付いていることを意味する。Non−GMO大豆の取引証拠金は1枚4万5000円、ストップ幅が4500円ということは一回で証拠金が飛ぶか、倍になるか。当れば喜んで手仕舞いするし、負ければ市場から離脱するしかない。いずれにしても取組高は減少する。
 この傾向は東穀取銘柄だけでなく、東工取市場にも同様のことがいえる。人気の貴金属市場は金の100円、白金の300円の動きが当たり前のようになっている。白金の証拠金は15万円だから逆に動けば一日でして手数料分は足になる。どうしても仕掛けは慎重にならざるを得ない。
 かつて満玉(証拠金手一杯)を建てて相場を取りに行ったベテラン外務員たちも、いまは手持ち資金の半分以上を手空きにして不測の事態に備えている。プロを自認する彼らも相場を眺める機会が増えて、ますます手を出しずらくしている。無理に仕掛けてや客様を失うのは困るし、何よりも足が怖い。「迷わば休むべし」も相場だが、この乱高下が続く間は「手出し無用」(出したくても出せない)に徹するのが生き残る道なのかもしれない。
 生活費が潤沢にある人は様子をみながら休み休み商いをすればよいが、明日のコメを買えない人たちはつい満玉勝負に挑んでみたくなる。負ければ業界から去るのみ。それは彼らを抱える企業(取引員)にも同様のことが言える。
 いま商品先物業界が置かれている現実は相場乱高下という一種の構造不況のようなもの、市場の平静さを待つほか手立てがない。それまで市場の流動性を維持できるかの正念場にきている。
(た)
(週刊 先物ジャーナル 08年9月15日 955号 掲載)

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