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惰眠はここまでにしよう
沼野龍男
先物市場が日本経済に資する役割は何であるのか。第一は、需要と供給が自由に競合することによって、その時々の物の価格(相場)を形成する機能。第二は、物の生産・加工・流通に携わる企業や人々が価格を指標として生産や在庫を調整したり、取引に参加することで価格変動に伴うリスクをヘッジできる機能。第三は、それらを通じて流通を円滑にする。即ち取引所が認める規格品を生産すれば、取引所を通じて大量に販売することも可能なこと。第四は、機を見るに敏なる投機家が取引に積極的に参画して、リスクティカーの役割を果たすこと。そしてそのボリュームが大きいほど市場機能が十分活用されるに値して、所期の存在目的を達成することにある。
利便性や信頼性の向上は国内外の参加者を増大せしめ、もって市場規模を拡大することは日本経済にとって大きなプラスとなる、という理屈は万人が認めるところ。
日本の先物市場の実態は、この使命感と目標に添って運営されているのであろうか。残念ながら、多くの点で否定せざるを得ない。
一、商品価格が変動して、商売の経営が厳しいという事業者が、先物市場のヘッジ機能を活用していれば、リスクを最小限に抑えることもできる。そのことを取引所はなぜPRしないのか。今こそ、先物市場の存在を世間に知ってもらう好機ではないのか。
ニ、利便性は24時間取引にすれば自然に向上するというものではない(要は市場機能が発揮され充足されるか否かの問題で、突き詰めれば市場流動性が潤沢であるか、どうかにかかっている。
三、信頼性は取引の決済、証拠金の保全、受渡の安全履行など公正な市場の管理運営に尽きる。例えば、東南アジアのゴムのシッバーは日本での受渡が最も安全性が高いと評価しているが如きである。委託者紛議は無いにこしたことはない。社会や経済の動向に疎く、資力の乏しい主婦や高齢者をリスクティカーとして引き込むことは論外だ。だからといって規制を声高に言うことは信頼性向上の本質を掏り替えている。既存の法令でいかような罰や処分も十分可能だし、事と次第によっては許可更新拒否権を発動することも可能だからだ。
市場管理の不備を改革するでもなく、臭いものには蓋、枝葉の論理が通り、市場流動性の担い手である個人投機家のための真の委託者保護には程遠く、正にお座成り。
関係各所に猛省を促したい。取引員にあっては「厳しい適格性の審査」と「説明義務の徹底」を2本柱に、正々堂々と営業をしてもらいたい。 |