第 263回

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米良 周              
 1936年、旧満州新京市生まれ60年早大第一政経学部卒、同年日本経済新聞社入社。73年商品部次長、78年編集委員を経て、94年より日経産業消費研究所首席研究員、96年日本経済新聞社退社。
 現在は先物ジャーナル社・代表取締役。
著書としては「日経商品面の読み方」(78年)「商品先物取引入門(95年)が、訳書として「金ー21世紀への展望」(88年)。近著(08年6月)「商品先物取引の手引き」(同友館刊)がある。

粗糖買い建て思案の理由
「ブラジル産エタノールはバイオ燃料の主役」
   
 ブラジルのエタノールに関するデータが砂糖を5%高に」
 英紙ファイナンシャル・タイムス(FT、2日付)商品欄の見出しに久しぶりに砂糖が登場した。
 商品欄から砂糖に関する記述を抜き出してみる。
 ●砂糖は1日、約5%値上がりし、ほぼ4ヵ月振りの高値を付けた。ブラジルがエタノール生産用のきび使用量を増やすというリポートを受けた動き。
 ●ブラジルの生産者団体によると、世界最大の産糖国ブラジルの産糖量は1〜5月で07年に比ベ14%減。一方、エタノール生産は倍増の50億リットル。「降雨量が増え、曇り日も07年に比べ多いという予報に立つと、当初の産糖量予測に達するのは困難」とも述べている。
 ●このニュースを受け、インターコンチネンタル取引所(ICE)の10月限はポンド当たり0.64セント上昇して13.74セントを記録した。今年の上昇率は26%。ザーニコフのアナリスト、ピーター・テ・クラーク氏は「砂糖は広範にわたる商品熱にも支えられている」と指摘している。
 「ココアは年後半戦の初日とあって新規買いがかさみ、ICEの7月限はトン当たり115ドル高の3367ドルと史上最高値に進んだ。世界最大の生産国アイボリー・コーストの作柄懸念もあって08年の上昇率は60%。コーヒーも買われた。Liffeのロブスタ7月限はトン当たり80ドル高の2560ドルと3ヵ月振りの高値」
 ソフト商品全面高の図である。その中で筆者が「粗糖買い」を思案中なのはトウモロコシエタノールに比べて、砂糖エタノールは環境への負荷が小さい、他商品〈小麦、大豆など)への高値の連鎖が限られるという利点が指摘でき、バイオ燃料のエースの座を固めると読むからである。
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 この読みは英誌エコノミスト〈6月28日号)の「Lean green not mean」と題するブラジルのバイオ燃料の記事に負っている。「米国はブラジルのエタノールへの関税を引き下げるかもしれない。だが、ブラジルのエタノールはいまなお的外れの批判にさらされている」という内容紹介が付いている。
 「6月23日、ジョン・マッケイン候補がカリフォルニアで、米国の石油依存を減らすプランを披露した。最も熱心な聞き手は6000マイル離れたサンパウロにいた。マッケイン氏はガロン当たり54セントの輸入エタノール関税を廃止すべきだ、と主張した。上院の他の議員(バラク・オバマ氏ではない〉も関税引き下げを強く求めている」
 「いずれにせよ、関税への批判は原油高、それに6月の中西部の洪水によるトウモロコシへの被害の両面から高まっている。作柄不安はトウモロコシを高値に押し上げ、トウモロコシ原料エタノール生産への補助は以前に比べて愚策にみえる。代わりに米国はよりグリーンで、かつ安いブラジルのエタノールが購入できるのだから」
 記事は、砂糖由来のエタノールへの批判を4分類している。
 @他のバイオ燃料同様、食料品価格を押し上げる。
 A森林を破壊し、砂糖きびを植え付ける
 B砂糖農園労働者の酷使。
 C供給余力に疑問あり
 その反論解説
 @砂糖きひ畑は700万ヘクタール、しかもきびの半分は食用砂糖、家畜放牧地は2億ヘクタール。砂糖畑は劣化した牧草地の一部に食い込んでいるだけで、牛肉価格への影響はない。
 A砂糖畑の広がりがアマゾンの森林破壊を呼んでいるという見方は当たらない。多くの砂糖畑は森林から数百マイル離れたサンパウロ州、あるいは北東部で栽培されている。砂糖畑の65%は旧牧草地。
 ブラジルのエタノールは投入量の8.2倍のエネルギー量(米産トウモロコシエタノールは1.5倍)を含む。
 Bきび収穫は骨が折れる仕事だった。だが機械化が進み、それも過去の話になりつつある。だが、重労働かつ危険な仕事からの解放は未熟練労働者の失業につながる。
 Cエタノール生産が増加しているのは国内需要家に石油の30%安で販売することが義務付けられ、フレックス車(ガソリン、エタノール混合自由)が新車の90%に及んでいるからだ。この国内需要を満たし、次いで輸出伸長をはかるという手だて。需要に合わせての増産体制である。
 記事の結語は「関税を撤退せよ」。

 (週刊 先物ジャーナル 08年7月14日 第947号 掲載)