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NYMEXを飲み込むCME
いま、世界で一番有名な商品取引所といえば、誰もがNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)を思い浮かべるにちがいない。言わずと知れた、原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)の上場取引所である。
私も、WTIを上場する前と上場後の2回、NYMEXを訪問したが、さすがに上場後の2回目の方がはるかに喧騒に満ちた市場内の空気に圧倒されたものだ。最近なら連日のように史上最高値を更新しているから、恐らくさらに殺気立った雰囲気に包まれていることだろう。
そのNYMEXがCMEグループによって買収されることになりそうである。つい先日、アメリカの司法省がCMEによる買収を認可したからだ。もっとも、両社の株主やNYMEX会員の了承を取り付ける必要があるし、とくにNYMEXはWTlの人気で収益が上昇しているから、買収価格をめぐつて交渉がもつれることも予想される。
それにしても、CMEがNYMEXを買収するなんて、40年前には考えられもしなかったことである。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)について触れると、同じシカゴにはCBOT(シカゴ・ボード・オプ・トレード)という大老舗が君臨していて、新興のCMEはCBOTが扱わないニッチを探しては試行錯誤をくりかえしていた、2番手の商品取引所にすぎなかった。
ところが1971年に”ニクソン・ショック”が起こり、その2年後には、主要国の通貨はそれまでの固定相場制から変動相場制へと移行せざるをえなくなった。為替相場はにわかにリスキーな性格に変わってしまったのである。このことあるを予知していたかのように、CMEが1972年に日本円を含む世界の五大通貨の先物市場を創設してからというものは、世界中から売買注文が殺到して、CMEは一躍、脚光を浴びた。
統いて80年代に入つて、S&P500という株価指数先物を上場し、通貨・金融の先物取引所として世界ナンバー・ワンに上りつめた。そのCMEが、今度は原油先物市場を手中に収めようとしているのである。この成り行きから目が放せない。
それというのも、世界経済や家計の維持にとって重大関心事である原油価格を、市場に任せ切りしてはおけないところまで、事態が深刻化しており、CFTC(商品先物取引委員会)の矛先も、NYMEXの背後にあるCMEにまで及ぶのは避けられないからである。
(種二) |