商品先物取引の手引き
先物ジャーナル社代表
米良 周
(同友館刊、1,890円=税込み
)
はじめに――危険な取引を楽しい取引に
危険性が高いといわれる商品先物に自発的に参加し、取引を楽しむにはどうしたらいいだろうか。本書はこんな考え方から執筆しました。
危険な取引には2つの面が考えられます。ひとつは、先物は小さな資金で大きな取引ができる証拠金取引という仕組みの中にあります。価格が予想に反すると、損失を見切らない限り、損失の額は雪だるまのように膨らんでいくからです。
一般の人が商品先物取引に参加するには、商品取引員(商品先物取引会社)を介さなければなりません。商品取引員の経営は取引の仲介手数料に依存します。できるだけ多くの参加者(顧客)、多くの取引高を求めます。手数料収入を増やそうという意図そのものにはなんら問題はないはずです。
だが、顧客を勧誘する過程で取引が本来持った危険性について説明が不足し、かつ取引の仕組みが理解できない人々が参加したらどうなるでしょうか。
いつの間にかこんなに損が膨らんだ」「いやお客さんも納得したはず」――もめ事(紛議)の種蒔きに通じます。紛議を通じて怖い取引というイメージを増幅させていきます。怖い取引とされるもうひとつの面です。
取引の持つ危険性(取引の仕組み)を理解できない人は勧誘しない、参加を遠慮していただくというように、商品取引員の営業姿勢はここ一両年大きく変化してきました。怖い取引とされる一面が薄れてきました。
証拠金取引の持つ危険性も証拠金を厚目に積む、取引量に枠を設ける、などの手段で低めることができます。余裕資金の範囲内で自主的に参加すれば、取引の本来持つ怖さ(危険性)もまた薄れます。
商品先物取引の対象商品の多くは金、銀、プラチナ(白金)、原油、ガソリン、灯油、ゴム、大豆、トウモロコシ、コーヒー、粗糖といった国際商品です。商品先物取引に参加することによって、その変動要因である国際政治・経済情勢への読解力が高まり、資産運用での視野が広がります。
商品相場への挑戦は足元の需給分析を出発点として、先行きの需給と人気に変化を推理していくことに通じます。良質な推理小説を読む、あるいは書くような楽しみが味わえるはずです。
取引の仕組みに通じた商品先物取引の人口の増加こそが商品先物市場の持つヘッジ(危険回避)、価格発見という機能の充実につながり、経済活動の円滑化、活性化につながる王道であると考えます。
第1、第2章では取引の仕組みとその意義を重複を避けず、説明しました。第3章では商品に共通する変動要因、第4〜6章では主な上場商品の需給のポイント、第7章では商品ファンドをそれぞれ解説しました。第8章は日本の商品先物市場の戦後の歩みをたどり、いま立っている位置を検証し、近未来像を描いてみました。
商品先物市場には相場師たちの相場との格闘の足跡が深々と印されています。新聞社の駆け出し記者時代、私が直接、間接触れ合った相場師たちの列伝を囲み記事で加えました。その相場手法、戦略は40年以上経っても決して色あせてはいません。
(同友館刊、1,890円=税込み
)